限定承認
限定承認は、実際にはごくわずかしか利用されていません。それは、手続が大変だからです。
しかし、被相続人の遺産のなかで、借金が多いか財産が多いかわからないような場合は、限定承認の手続をおすすめします。
ここでは、相続放棄してしまうよりも、手間や費用をかけてでも限定承認したほうがいい!というケースを3つご紹介します。
父親名義の自宅をどうしても残したい!というケース
父親名義の自宅の価値が3000万円で、さらにそれ以外にも借金が1億円ある。自宅の代金はなんとか工面できるが、それ以外の借金1億円分はとても用意できそうにない。
このような場合、相続放棄をすると、自宅は相続財産管理人か破産管財人の管理下になってしまいます。そのうえで、相続財産管理人や破産管財人が売却先を決めるか、または競売にかけられ、処分されてしまいます。競売にかけられた自宅を運良く手に入れることができればよいのですが、それができる保証はありません。
限定承認には、先買権という制度があります。限定承認手続のなかで、家庭裁判所に鑑定人を選任してもらい、鑑定人が評価した自宅の価額を支払えば、自宅を確保できるのです。評価額が3000万円であれば、3000万円を支払えば、自宅を確保することができ、それ以外の借金については負担せずに済みます。