寄与分とは?
「寄与分」(きよぶん)」とは、被相続人の生前に、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をしたことで、その貢献に応じた金額が相続分に加算される、その加算分のことをいいます。
寄与分が認められる条件
寄与分が認められるには、以下のような条件を満たしている必要があります。
- 共同相続人であること
- 被相続人の財産の維持または増加があること
- 特別の寄与であること
被相続人に対して多大な貢献をしたとしても、相続人でない場合は、寄与分は認められません。そのため被相続人の息子の妻がいくら介護をしたとしても、妻には寄与分が認められることはありません。ただ、息子が介護するのを一緒に手伝ったとして、息子の寄与分が認められる可能性があります。
財産を増やす、財産を減らさずに済んだ、借金を増やさずに済んだといったことが必要です。つまり金銭的に評価が可能な貢献の必要があるということです。
被相続人に対して多大な貢献をしたとしても、それが財産の維持・増加にかかわらないような場合は、寄与分は認められません。被相続人を頻繁に訪問した、いつも一緒に暮らして楽しく暮らせるようにした、等の精神的な援助や協力については寄与分の対象にはなりません。
通常期待される程度を超えて、はじめて寄与分が認められます。
通常期待される程度がどの程度であるかは、被相続人と寄与した人との関係によって異なります。夫婦間で期待されること、親子間で期待されること、叔父と姪の間で期待されることは異なるからです。法律上も、夫婦間は協力扶助義務(752条)が、親子間と兄弟間には相互扶養義務(民法877条1項)が、それ以外の親族間では特別の事情がある場合の扶養義務(民法877条2項)が定められています。この義務の範囲の行為は、法律上の義務を果たしただけともいえ、寄与分の対象にはなりません。
したがって、妻の、夫に対しての寄与はなかなか認められません。一見不公平に思えますが、妻の貢献については法定相続分で考慮されています。通常であれば妻は遺産の形成に寄与しているので、敢えて寄与分を主張しなくても初めから法定相続分が多くなっていると考えることができます。