相続人調査
相続人の間で遺産分割をする場合、相続人が誰であるか、明らかにしておく必要があります。
「夫の相続人は私と子どもだけだから、そんなのいちいち調査する必要はない。」と思われるかもしれませんが、たとえば相続により、不動産の名義人を変更する場合など、金融機関や法務局などの第三者が法定相続人を確認するためには、必ず相続人調査をしておかなければなりません。
相続財産の調査方法について、詳しく解説いたします。
相続人の間で遺産分割をする場合、相続人が誰であるか、明らかにしておく必要があります。
「夫の相続人は私と子どもだけだから、そんなのいちいち調査する必要はない。」と思われるかもしれませんが、たとえば相続により、不動産の名義人を変更する場合など、金融機関や法務局などの第三者が法定相続人を確認するためには、必ず相続人調査をしておかなければなりません。
相続財産の調査方法について、詳しく解説いたします。
相続人を調査するためには、戸籍謄本(または除籍謄本)、住民票の除票などを取り寄せます。被相続人の死亡の証明になります。
次に、被相続人が12~13歳から現在までの、すべての戸籍を集めます。(被相続人の両親の戸籍を収集する必要がある場合もあります。)
被相続人が本籍を移動していない場合には、本籍地の市町村役場で、被相続人の身分関係がわかる謄本をすべて申請したい旨を伝えれば、すべての謄本がそろいますが、そうでない場合には、謄本の記載事項にさかのぼって、各市町村役場にそれぞれ申請をしなければなりません。古い謄本だと、手書きで書いてあるものもあり、判読などがとても難しいこともあります。
戸籍の請求は、市町村役場へ直接出向く方法と、郵送で取り寄せる方法があります。郵送で請求する場合は、以下のものを準備して各市町村役場へ送付します。
市町村役場のホームページからダウンロードする等の方法で入手します。
郵便局で購入します。それぞれの市町村役場や請求する戸籍の種類によって、必要な金額は異なります。
戸籍を送付してもらうためのものです。市町村役場によって、必要な場合があります。
戸籍を取り寄せたところ、下図のような戸籍謄本を入手しました。ここから分かることを読み取りましょう。
この戸籍謄本から、右図のような家系図を描くことができます。この戸籍謄本は、□夫氏が55歳(昭和60年)から80歳(平成22年)までのことが記載されています。これだけでは相続人調査は不十分ですので、□夫氏が55歳(昭和60年)以前の戸籍を取り寄せなければなりません。この戸籍謄本に”横浜市金沢区××町から転籍届出”とありますので、
を取り寄せます。
戸籍を取り寄せたところ、下図のような除籍謄本を入手しました。ここから分かることを読み取りましょう。
この戸籍から、右図のような家系図を描くことができます。
この除籍謄本から前の戸籍謄本からは分からない新しい事実が判明しました。□夫氏と△子氏の間に、▲太氏という養子がいたことです。
上記戸籍謄本の時点では、▲太氏は、既に結婚して転籍したため、▲太氏についての記載がなかったのです。養子にも相続権がありますので、▲太氏は相続人となります。
この除籍謄本は□夫氏が28歳(昭和33年)から55歳(昭和60年)までのことが記載されています。
これだけでは相続人調査は不十分ですので、□夫氏が28歳(昭和33年)以前の戸籍を取り寄せなければなりません。
そこで除籍謄本を見てみると、”法務省令第弐拾七号により改製”とあります。”改製”とは、法令などにより、戸籍が大きく作り替えられることをいいます。”改製”される前の戸籍のことを改製原戸籍といいます。今回は、この除籍謄本の前の、改製原戸籍が必要です。
を取り寄せます。
戸籍を取り寄せたところ、下図のような改製原戸籍を入手しました。ここから分かることを読み取りましょう。
いままでの戸籍から家系図を描くと、右図のようになります。
現時点で、□夫氏の相続人は、
の4名です。
ここで相続人調査は終わりではありません。この4名の相続人のなかで、生存が確認されているのは、妻の△子氏と長男■助氏だけです。
上記除籍謄本上ですでに除籍されている養子の▲太氏と、上記戸籍謄本上ですでに除籍されている長女の▲美氏の生存の確認をとるため、
及び
を取り寄せ、それぞれの相続人の生存を確認します。
戸籍を取り寄せたところ、下図のような戸籍謄本を入手しました。
養子の▲太氏については(左図)生存の確認がとれましたが、長女のの▲美氏については(右図)既に死亡していることがわかりました。ここまでの調査をまとめると以下のようになります。
□夫氏の相続人は、
の3名であることがわかりました。
以上で相続人調査は完了です。