相続とは何か?

「相続」とは、亡くなった人の財産を、家族などの相続人が受け継ぐことです。 亡くなった人のことを「被相続人」、財産を受け継ぐ人のことを「相続人」、被相続人から相続人に受け継がれる財産を「相続財産」または「遺産」といいます。

相続がはじまるタイミング

相続は、被相続人が死亡することで開始します。

被相続人の財産は、自動的に相続人のものとなります。「私が相続します」という意思表示や、何らかの書類へのサインなども必要ありません。被相続人が死亡した時点で相続人の意思とは関係なく、相続はすでに始まっているのです。

相続の対象となるもの

  • 不動産
    相続財産のなかで、大きな割合を占めるもののひとつです。不動産は相続人間で分けることが難しく、相続争いのもととなることも多いようです。不動産の相続についてはこちらをご参照下さい。
  • 借地権・借家権
    借地権・借家権は相続の対象となります。借地上の建物や借家に住んでいる相続人は、借地権や借家権の名義人が亡くなった場合でも借地契約・借家契約をそのまま相続します。
  • 事業
    株式会社や有限会社の場合は、株式や出資の持ち分が相続の対象となります。
  • 借金
    被相続人が負っていた借金も、相続の対象となります。被相続人が銀行の債務を負っていたり、連帯保証人になっていたりして、借金の額が過大である場合は、相続人は相続放棄することができます。
    相続放棄についてはこちらをご参照下さい。
  • 売掛金債権・貸金債権・損害賠償請求権
  • 株式・投資信託・国債
  • 貴金属類・骨董品・美術品
  • 自動車

遺産分割の対象とならないもの

  • 金銭債権
    相続手続では、当然に分割されるとされ、遺産分割の対象にならないのが法律の建前です。
    但し、預金や貯金は、金銭債権ですが、遺産分割の対象となります。(※これは平成28年12月19日に最高裁判所が今までの考えを変更したものです。古い情報に注意してください。)
    預貯金の相続についてはこちらをご参照下さい。

相続と異なるルールで継承されるもの

  • 生命保険金
    被相続人のかけていた生命保険で、保険金の受取人が相続人に指定されていた場合、保険金請求権は相続財産ではなく、受取人として指定された人の固有の権利となります。したがって、もし相続人が相続放棄をしたとしても、保険金を受け取ることが出来ます。
    相続放棄についてはこちらをご参照下さい。特別受益についてはこちらをご参照下さい。
  • 死亡退職金
    死亡退職金の支給規定は、就業規則、法律、条例などに定められています。こちらも生命保険金同様、相続財産ではなく、受取人固有の権利であることが多いようです。
  • 祭祀(お墓など)
    お墓、仏壇などは祭祀財産といい、相続財産にはなりません。
    遺言書などで、被相続人の指定がある場合には、指定された人が継承し、遺言などで指定がない場合は慣習に従い、どちらもない場合は家庭裁判所で調停または審判の申立てをして決めます。

相続の対象とならないもの

  • ゴルフ会員権
    相続の対象となるかどうかは会則によります。会則のなかに「会員が死亡したときはその資格を失う」記載がある場合は、相続の対象にはなりません。
  • 公営住宅の使用権
    公営住宅の使用権は、通常の賃借権とは異なります。入居者の入居資格を審査したうえで入居を認めるものなので、相続の対象にはなりません。