遺産分割の話し合いがまとまらないとき|遺産分割調停の流れ・期間・費用

遺産の分け方は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます。全員が合意しなければ協議は成立せず、一人でも反対したり、話し合いに応じなかったりすると、手続きが止まってしまいます。

このようなときに利用できるのが、家庭裁判所の遺産分割調停です。このページでは、調停の申立て方法から、調停の流れと期間、まとまらなかった場合の審判、弁護士に依頼する場合のサポート内容と費用までを解説します。

よくあるお悩み

  • 相続人の一人が話し合いに応じてくれない
  • 特定の相続人が遺産を独り占めしようとしている
  • 生前に多額の援助を受けた兄弟がいるのに、同じ割合で分けるのは納得できない
  • 親の介護を担ってきたことを考慮してほしい
  • 実家(不動産)を誰が取得するか、いくらで評価するかで対立している
  • 相続人同士が疎遠で、連絡や調整が難しい

話し合いがまとまらないときの3つの方法

相続人同士の話し合いで解決できない場合、次の3つの方法があります。

  1. 弁護士が代理人として交渉する
    弁護士が間に入り、相手方と話し合います。法的な見通しを示しながら交渉するため、裁判所の手続きを使わずに合意できることもあります。
  2. 遺産分割調停を申し立てる
    家庭裁判所で、調停委員を交えて話し合います。もっとも多く利用される方法です。
  3. 遺産分割審判
    調停で合意できなかった場合に、裁判所が分け方を決めます。通常は調停を経てから審判に進みます。

遺産分割調停とは

遺産分割調停は、家庭裁判所で、裁判官と調停委員(通常2名)からなる調停委員会が間に入り、相続人同士の話し合いによる解決を目指す手続きです。

調停委員は、申立人と相手方から交互に話を聞き、双方の主張や資料を整理したうえで、解決案を示したり、助言をしたりします。相手と顔を合わせて直接やり取りする場面は多くないため、感情的な対立がある場合でも、話し合いを進めやすいのが特徴です。

調停はあくまで話し合いの場であり、相続人全員が合意しなければ成立しません。合意できなかった場合は、審判手続に移ります(後述)。

調停の申立て方法(申立先・費用・必要書類)

申立てをする人・される人

相続人のうち一人または複数人が申立人となり、ほかの相続人全員を相手方として申し立てます。相続人の一部を除いて調停を進めることはできないため、まずは相続人調査で相続人を確定させる必要があります。

申立先

相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てます。

費用

  • 収入印紙:被相続人1人につき1,200円
  • 連絡用の郵便切手:金額は申し立てる家庭裁判所によって異なります
  • 戸籍謄本や登記事項証明書などの取得費用

主な必要書類

  • 遺産分割調停申立書(相手方の人数分の写しも必要)
  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本と住民票(または戸籍附票)
  • 遺産に関する資料(不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書、預貯金の通帳の写しや残高証明書、株式・投資信託の資料など)

※ 事案によって追加の書類を求められることがあります。申立書の書式・記載例と必要書類は、裁判所のページ「遺産分割調停」で確認できます。申し立てる家庭裁判所によって必要な書類が異なることもあるため、あわせてご確認ください。

調停の流れ

  1. 申立て:申立書と必要書類を家庭裁判所に提出します。
  2. 第1回期日の通知:家庭裁判所から当事者全員に、期日の呼出状が届きます。第1回期日は、申立てからおおむね1〜2か月後に指定されることが多いです。
  3. 期日での話し合い:1回の期日は2時間程度で、申立人と相手方が交互に調停室に入り、調停委員に事情を説明します。
  4. 次回期日:期日は1〜2か月に1回程度のペースで、合意できるまで繰り返されます。期日の間に、資料の提出や主張の整理を行います。
  5. 調停成立または不成立:全員が合意すれば調停成立、合意の見込みがなければ不成立となり、審判に移ります。

話し合いは段階を追って進む

遺産分割調停では、一般に次の順序で、一つずつ合意を積み重ねながら話し合いを進めます。

  1. 相続人の範囲:誰が相続人かを確定します
  2. 遺産の範囲:分ける対象となる財産を確定します
  3. 遺産の評価:不動産や株式などをいくらと評価するかを決めます(遺産の評価方法)
  4. 各相続人の取得額:法定相続分をもとに、特別受益や寄与分を考慮して決めます
  5. 分割の方法:誰がどの財産を取得するか、代償金を支払うかなどを決めます(遺産分割の方法)

前の段階で合意した内容を後から蒸し返すことは、原則として認められません。早い段階から、主張と資料をしっかり準備しておくことが大切です。

調停にかかる期間

遺産分割調停の平均審理期間は約1年です。期日は1〜2か月に1回程度のペースで開かれるため、話し合いが長引けば、解決までに1年以上かかることもあります。次のような事情があると、さらに長引く傾向があります。

  • 相続人の人数が多い、または疎遠な相続人がいる
  • 不動産の評価をめぐって意見が大きく分かれている
  • 特別受益や寄与分の主張がある
  • 相続人の一人が遺産を管理していて、財産の全体像が分からない

反対に、争点がはっきりしていて、必要な資料がそろっている場合は、数回の期日で合意できることもあります。

調停で話し合えること・話し合えないこと

遺産分割調停で扱うのは、原則として、亡くなった時点で存在し、現在も残っている遺産をどう分けるかです。次のような問題は、遺産分割とは別の問題(付随問題)として扱われます。

  • 生前や死後に、相続人の一人が預金を引き出していた(使い込みの問題)
  • 葬儀費用を誰が負担するか
  • 亡くなった後の賃料収入などをどう分けるか

これらは、相続人全員が合意すれば調停の中で一緒に解決できますが、合意できない場合は、別途、訴訟などで解決する必要があります。どの問題をどの手続きで扱うかは、見通しを大きく左右するため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

調停が成立した場合・不成立の場合

調停が成立した場合

合意した内容は調停調書に記載されます。調停調書は確定した審判と同じ効力を持ち、不動産の相続登記や預貯金の解約手続きに使えます。相手が代償金を支払わない場合は、強制執行を申し立てることもできます。

調停が不成立となった場合

調停が不成立になると、改めて申し立てなくても、自動的に審判手続に移ります。審判では、裁判官が、提出された資料や主張をもとに、法律に従って分け方を決めます。

審判では、法定相続分を基準に、証拠で裏付けられた事情だけが考慮されます。調停の段階から、審判になった場合の見通しを踏まえて主張や資料を準備しておくことが重要です。なお、寄与分を審判で考慮してもらうには、寄与分を定める処分の申立てを別に行う必要があります。

弁護士に依頼するメリット

  • 相手と直接やり取りしなくて済む
    調停の前の交渉から、調停・審判まで、弁護士が代理人として対応します。書面の作成を任せられるほか、期日には弁護士が同席して、相手方とのやり取りや主張を担当します。
  • 主張と証拠を法的に整理できる
    特別受益や寄与分、不動産の評価など、取得額に大きく影響する点について、審判での見通しを踏まえて主張を組み立てます。
  • 財産の全体像を調べられる
    預貯金の取引履歴や不動産の資料を取り寄せ、遺産の範囲を確定させます。
  • 調停前に解決できることもある
    弁護士が法的な見通しを示して交渉することで、調停を申し立てる前に合意できる場合もあります。

弁護士費用

交渉

着手金

22〜33万円

報酬金

33〜44万円

または経済的利益の11%のいずれか多い額

調停

着手金

33〜44万円

報酬金

44〜55万円

または経済的利益の11%のいずれか多い額

金額はすべて税込です。

※ 着手金・報酬金は、事案の難易度などに応じて加算されることがあります。実費(印紙代・切手代など)が別途かかります。審判に移行した場合の費用は、弁護士から個別にご説明します。相談料は5,000円(税込)/30分です。詳しくは弁護士費用をご覧ください。

よくある質問

相手が調停に出てこない場合はどうなりますか?

相手が欠席を続け、話し合いによる解決が見込めない場合、調停は不成立となり、審判手続に移ります。審判では、相手が欠席していても、裁判所が提出された資料をもとに分け方を決めます。

家庭裁判所が遠方でも調停に参加できますか?

裁判所が相当と認める場合は、電話会議やウェブ会議の方法で期日に参加できることがあります。

弁護士に依頼すれば、本人は出席しなくてもよいですか?

調停の期日には、本人が出席するのが原則で、弁護士に依頼した場合も、弁護士と一緒に出席するのが基本です。ただし、病気や高齢などのやむを得ない事情がある場合は、弁護士だけが代理人として出席することが認められることがあります。本人が出席する場合も、弁護士が同席して主張や説明を行うため、一人で調停委員とやり取りする負担は軽くなります。

調停の内容が他人に知られることはありますか?

家庭裁判所の調停は非公開で行われます。傍聴人はおらず、調停委員や裁判官には守秘義務があります。

相続から何年たっても調停を申し立てられますか?

遺産分割そのものに期限はありません。ただし、相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益や寄与分を主張できなくなります。生前贈与や介護の貢献を考慮してほしい場合は、早めに手続きを進めることが大切です。

「相手が話し合いに応じない」「調停を申し立てられた」など、遺産分割でお困りの方は、まずは状況をお聞かせください。弁護士が、見通しと進め方をご説明します。

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